トランス脂肪酸って危険!とか日本では規制はなく野放しにされている…とか
SNSではマーガリン・ショートニングのトランス脂肪酸について不安を煽るようなことばかり書かれていますよね…
と、いうわけで世間を騒がせている「トランス脂肪酸」の真相について調査。実はトランス脂肪酸のリスクよりも、はるかに気をつけるべき問題があることが分かりました!
マーガリン・ショートニング・バターの違い
マーガリンやショートニングは、バターとどう違うのか?簡単に違いをまとめてみました。
原料 | 状態 | 風味 | |
バター | 生乳 乳脂80%以上 | 低温では硬い | 芳醇な香り |
マーガリン | 主に植物油脂、動物性油脂、水、乳成分、ビタビン類、食塩、添加物など 油脂80%以上 | 原料によって使いやすい硬さに調整できる | あっさりとした味 |
ショートニング | 植物・動物性油脂 ほぼ100%油脂 | 粉末からクリーム状、液状まで様々 | 無味無臭 |
大きな違いは原料です。バターは生乳などの乳脂肪から作られますが、マーガリンとショートニングは主に植物性の油脂(コーン油、紅花油、大豆油、なたね油、パーム油など)からできています。
マーガリンとショートニングの原料はほぼ同じですが、ショートニングは水分を含まずほとんどが油脂のみでできているのに対し、マーガリンは食用油脂に水や乳成分などを加えたもので、油脂分は80%以上となっています。
マーガリンとは?
マーガリンは元々、バター不足を解消するための代用品として日本へやってきました。
マーガリンの原料は油脂。60%強を占める植物油脂の種類は大豆油、なたね油、コーン油、ひまわり油、パーム油、やし油、など、実に様々。動物性の油で主なものは魚油のほか、国産の豚脂・牛脂などです。
「植物性の商品をつくりたい」「バターに近いコクのあるものを作りたい」など、目的によって素材を使い分けたり、何種類か組み合わせたりして、様々な種類のマーガリンを作ることができます。これがバターにはない大きな特徴の1つと言えます。
消費者庁の食品表示基準においてマーガリンは「食用油脂(乳脂肪を含まないもの又は乳脂肪を主原料としないものに限る)に水等を加えて乳化した後、急冷練り合わせをし、又は急冷練り合わせをしないで作られたもの」なので、乳化剤が入っていないものをスーパーなどで見つけるのはかなり難しいです。
ちなみにマーガリンの中でも油脂分が80%未満のものを「ファットスプレッド」と呼びます。マーガリンに比べ油分が少なく軽い味わいで、やわらかくてパンに塗りやすいのが特長です。
ショートニングとは?
ショートニングはラード(豚の背脂)の代用品としてアメリカで生まれました。一般的には白いクリーム状で無味無臭。伸びが良く生地に混ぜ込みやすいため、パンやクッキー、ケーキにも使われています。
また、製菓用以外にも幅広く利用されており、カップ麺や冷凍食品、特に揚げ物に使用すると衣がカラッと揚がることから、ファーストフードなどの業務用揚げ油に多く使われています。
サクサク、ぼろぼろとした食感を意味する「shorten」から「ショートニング」と名付けられたと言われています。
マーガリン・ショートニングが身体に悪いと言われる理由
「トランス脂肪酸」が含まれている
もうご存知の方も多いと思いますが、マーガリン・ショートニングが身体に悪いと言われる理由は「トランス脂肪酸を多く含んでいるからです。
トランス脂肪酸ってどういうもの?
トランス脂肪酸が生成される過程
マーガリンやショートニングを作る際、原料である植物油脂は液体。そのままではマーガリンやショートニングにはなりませんので固体にしなければいけません。
液体の植物油脂に部分的に水素を添加して、半固体・固体の状態にしたものを「部分水素添加油脂」と呼びます。この水素を添加する過程で多くのトランス脂肪酸が生成されるというわけです。
(ちなみに水素添加が完全に行われた場合は「完全添加油脂」となりトランス脂肪酸は生成されません)
じゃあ、この化学的に水素添加をしたものだけにトランス脂肪酸が含まれてるってこと?
トランス脂肪酸には、天然由来のものもあります。牛など(反芻動物)の胃の中で微生物により生成しますので、バターにも含まれてますよ。
トランス脂肪酸のリスクとは
トランス脂肪酸は血液中の悪玉と呼ばれる「LDLコレステロール」を飽和脂肪酸と同様に増やすだけでなく、善玉「HDLコレステロール」を減らし、冠動脈性心疾患のリスクを増やすとされています。
善いやつ減らして悪いやつ増やすとか…極悪やん 笑
WHOはトランス脂肪酸の影響について以下のように結論づけています。
部分水素添加油由来のトランス脂肪酸の摂取が、複数の心血管系疾患発症リスク因子を強め、冠動脈性心疾患の発症を増やすことが最近の証拠から示されている。
トランス脂肪酸の摂取と健康への影響|農林水産省
2012年の食品安全委員会の評価書では、トランス脂肪酸とがんの因果関係はないと結論できなかったとしています。
参考:トランス脂肪酸問題についてのQ&A|日本生活共同組合連合
トランス脂肪酸の摂取と健康への影響|農林水産省
トランス脂肪酸 規制の現状
海外でトランス脂肪酸は規制されている?
WHO(世界保健機関)は生活習慣病の予防のため、食事からトランス脂肪酸を減らし、総摂取エネルギー量の1%よりも少なくすることを目標とし、各国にトランス脂肪酸の低減を推進するよう呼びかけています。
そのためトランス脂肪酸の摂取量が比較的多い国を中心に、摂取上限量を設けたり、部分水素添加油脂の食品への使用を規制したりする動きは年々増加傾向にあります。
参考:トランス脂肪酸に関する各国・地域の規制状況|農林水産省
日本におけるトランス脂肪酸の規制について
一方、日本ではトランス脂肪酸について、含有量や表示の義務などの規制はありません。
え?諸外国ではいろんな規制がされていて、しかもその数も増えてきているのに日本では何もされてないの?
何もされてない、というより、する必要がないくらい摂取量が少ない、ということなんです。
日本人のトランス脂肪酸 摂取状況
【トランス脂肪酸の平均摂取量】
■アメリカ:2.2% ■日本:0.3%
※食品安全委員会「食品中に含まれるトランス脂肪酸」評価書より
グラフを見ても分かるように、どの年代でもWHOの目標である1%を大きく下回っています。
パーセンタイルとは:例えば100人からデータを取った場合、95パーセンタイルなら1番少なかった人から順に並べて95番目の人の値のこと。
摂取量が100人中 5番目に多い人の数値ってことは、かなり大きい数字なはず…ですが、1〜6歳の男児を除き1%を下回る結果に。
日本人のほとんどが1%には、程遠いということが分かりますね。
そのため「通常の食生活では健康への影響は小さい」と考えられていますが、脂質を多く摂る食生活の人は注意する必要がある、と注意喚起しています。
昔、短期間だけアメリカにホームスティしたんですが、パン、パスタ、ハンバーガー、またハンバーガーみたいな食生活に辟易した記憶が…米食べさせてぇってなりました。笑
そのような欧米人の食生活と比べると、主食がご飯の日本人の食生活では、トランス脂肪酸の摂取量がかなり少ない、というのは頷けますね。
参考:食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価について|食品安全委員会
トランス脂肪酸は年々低減されています
現在ではメーカー各社の取り組みにより、トランス脂肪酸の摂取量は減少傾向にあります。サイトにも低減への取り組みが大きく謳われています。
食品安全委員会と農林水産省が行った調査結果を比べた表を見ると、食品中のトランス脂肪酸の含有量は、試料の採取方法や分析方法が異なるものの、近年では低い傾向となっています。(値は平均値、カッコ内は範囲)
※(平成18年度:食品安全委員会、平成19、26、27年度:農林水産省が調査)
マーガリンとショートニングの平均値がめっちゃ下がってる〜
トランス脂肪酸を減らすための努力が「あるもの」を増やしていた?!
トランス脂肪酸が多く含まれるのは、液体の油脂を固形にするために加工された「水素加工添加油脂」でしたよね。
ならば、液体の油脂を使用せずにマーガリン・ショートニングを作れば、トランス脂肪酸を減らすことができる!と多くのメーカーで「もとから固体であるパーム油やバターに原料を置き換える」ということが起きました。
実際、トランス脂肪酸はめきめき減っていきました。しかしその一方でパーム油やバターに多く含まれる「飽和脂肪酸」がどんどん増えるという事態に陥っているのです。(増える理由は他にもありますが)
確かにトランス脂肪酸の量はめっちゃ減ってるけど、飽和脂肪酸の量は増えてる!
参考:食品に含まれるトランス脂肪酸|内閣府食品安全委員会
飽和脂肪酸とは?
なんだか聞いたことあるような、ないような…ということでおさらい。
飽和脂肪酸が多く含まれる食品
- 牛脂
- パーム油
- 牛乳
- バター
- 魚介類
- 菓子パン
- ケーキ
- カップ麺
不飽和脂肪酸を多く含むのは「青魚」ね!
✓ 体にいい油、安全な油について知りたい方はこちらの記事もチェック!
飽和脂肪酸のリスクとは?
では、飽和脂肪酸は身体にどんな影響があるのか?
飽和脂肪酸をとりすぎると、血中の総コレステロールが増加し、心筋梗塞をはじめとする循環器疾患のリスクが増加すると示されています。
これってトランス脂肪酸と同じような影響があるってこと?!
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の血中コレステロールへの影響の大きさと現在の日本人のそれぞれの脂肪酸の摂取量を考慮すると、トランス脂肪酸の影響は、飽和脂肪酸の影響の12分の1程度とされています。
トランス脂肪酸についてのQ&A|日本生活協同組合連合会
おい おい おい… これじゃ問題の根本的な解決になってないんじゃ…
参考:脂質による健康影響|農林水産省
飽和脂肪酸の摂取状況 「日本人の約半数が摂り過ぎ」
「日本人の食事摂取基準2020年版」では、飽和脂肪酸の目標量は成人で総摂取エネルギーの7%以下、と定められています。
令和元年(2019年)国民健康・栄養調査の結果から計算したところ、20歳以上の日本人の飽和脂肪酸の平均摂取量は、総摂取エネルギーの8.4%相当でした。
脂質のとりすぎに注意|農林水産省
中央値が目標の7%を超えてるってことは…
女性の場合、約半数が摂り過ぎ!年代によっては半数以上!
女性はクッキーやケーキなどの洋菓子、焼き菓子をたくさん食べる傾向にあるからだそう…
参考:日本人の食事摂取基準 2020年版|厚生労働省
食品に含まれる飽和脂肪酸の量
下の表は、市場に流通するマーガリンやショートニングを含む食品の「脂質とトランス脂肪酸・飽和脂肪酸の濃度」を調査したものです。
※マーガリン・ショートニングなどは一般用と業務用の両方を含んでいます。業務用はパンや菓子の原料等として使用されます。
いろんな商品をサンプルとして調査しているため、製品によってかなりのバラつきがあることが分かりますね。ファットスプレッドの飽和脂肪酸を見てみると、4.5の商品もあれば49の商品もあるってことです。めっちゃ開きあるな…
このデータにバターが載ってませんが「天然のトランス脂肪酸のみを含むと考えられる食品」は除外ということだそうです。
ちなみにバターの飽和脂肪酸の含有量は…
飽和脂肪酸:g/食品100g 約70
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 第2章第2表|文部科学省 より
飽和脂肪酸、70!?多すぎん?
参考:食品中の脂質とトランス脂肪酸濃度|農林水産省
本当に避けるべきは「飽和脂肪酸」だった…
マーガリンやショートニングにはトランス脂肪酸が含まれていて、トランス脂肪酸は身体に悪影響があるため、できれば避けた方がいい。でも日本人はそんなに摂取量が多くないので、国で規制等はされていない。
この記事を書くにあたって勉強する前、ここまでは分かっていました。
ですが、いろいろ調べてみて「本当に避けるべきは飽和脂肪酸」ということが分かりました。すでに日本人の約半数が摂り過ぎの状態…放っておける問題ではありません…。
私のデータを見よ!LDL-コレステロールは減らせる!涙
実は昔からコレステロール値が高く、親もその傾向にあったため「遺伝かなぁ〜笑」なんて言っていたのですが、流石に年齢的に無視できなくなってきたので本気で取り組むことにしたのが 2年前。
悪玉コレステロールと呼ばれる「LDL-コレステロール」の数値が非常に高かった私。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が中性脂肪や善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールを増やすんだから、とにかく脂質そのものを減らしてみることに。
お菓子がやめらんない。だって〜甘いものは地球を救わんけど、私を救う!お茶タイムに甘いもの、絶対欲しい!これは譲れない!
なので、まずは夜ご飯を食べた後にお菓子を食べないことから始めました。
そして1年前から、朝ごはんのパン食の回数を減らすことに。子どもがパン好きなので、毎日パン食でしたが、平日はごはん、土日はパン、と週に7食→2食へ変更。これ、1年間で計算すると「約365食→約104食」です!
パン食の場合、パンに塗るバターやマーガリンはもちろん、パン自体に使用されているバターやマーガリンも含まれるので、ごはん食に比べ脂質はかなり多くなります。
さらに!数ヶ月前からバターをマーガリンに変更!この際、少量の添加物なら、脂質を摂るリスクの方が明らかにデカい!と判断してマーガリンにしました。
最近のマーガリンはトランス脂肪酸対策の文言がパッケージに書かれていますね。
見よ!この数字。昨年は基準値ギリギリでしたがなんとかセーフ!
実はこれより以前の検査で「154」という数値を叩き出したことのある私…頑張った!皆さん、ちゃんと食生活に気をつければ改善することができますよ!
正直、お菓子やめたらグッと減りそうだけど、私にとっての楽しみだから別のところで調整。ガマンが少ないからストレスを溜めずに減らすことができています!
トランス脂肪酸よりはるかにリスクの高い飽和脂肪酸…あなたは大丈夫?
ここからは、私個人の見解なので「ヘぇ〜そんな考え方もあるのね」くらいに読んでいただければ幸いです。
「トランス脂肪酸って身体に悪いよ!だからトランス脂肪酸が含まれているマーガリンやショートニングを避けよう!」って簡単。悪者が明らか、わかりやすい。
でも「飽和脂肪酸って身体に悪いよ!だから飽和脂肪酸が多く含まれる食材は摂る量を減らして、不飽和脂肪酸を含む食材も積極的に取り入れよう!」って、わかりにくいし、なんだかめんどくさそう。
肉は部位によって飽和脂肪酸の量が違うので赤身のものを。動物性脂肪であるチーズやバターなどの乳製品は減らし、脂肪分の多い洋菓子は食べ過ぎないように。できるだけ和食中心にして、油を使わない調理法を〜…
もう無理…覚えられん。
みんなわかりやすくて簡単なものに飛びつきやすい。悪者が明確なら叩きやすい。「いろんな食材を偏りなくバランス良く摂りましょう」なんて目新しくもないから誰も見向きもしない。
その結果が「トランス脂肪酸減らさなきゃ消費者から嫌われるからなんとかするぞ!」ってことで既に摂りすぎな傾向の飽和脂肪酸を増やした商品が市場にたくさん出回るようになった。でもそんなこと話題にもならない。
国(厚生労働省や農林水産省)は、実はずっと前から言い続けてます。トランス脂肪酸だけに目を向けるのではなく、脂質全体を減らしましょう、と。でもメディアが大きく報じることはないですよね…
この記事に辿り着いたあなたは、知りたい、と思って検索して記事を読んでくれていますよね、それが大事だと思うんです。
垂れ流されている情報を、全部鵜呑みにするのは危険。自分で調べて考えてみましょう!
まとめ:トランス脂肪酸を含むマーガリン・ショートニングだけが悪者!ではありません!
いかがでしたでしょうか?
トランス脂肪酸だけが悪者ではない!「脂質」全体を減らす工夫をしましょう!
マーガリン・ショートニングをバターに置き換えても、飽和脂肪酸だけでみるとバターの方が断然やばい!
加工食品はもちろん、焼き菓子や揚げ物、乳製品など摂取量を減らすのが正解!
引き続き、様々な努力によって、飽和脂肪酸に置き換えるのではない形でトランス脂肪酸の平均摂取量をさらに少なくし、また、多量摂取者の割合をさらに少なくするための具体的な対策が望まれます。
トランス脂肪酸問題についてのQ&A|日本生活協同組合連合会
この文章を読んで、しっかりと問題に向き合っている企業・会社などから商品を買いたいな、と思いました。できるだけ安全なものを口にしたい!そうお考えなら、無添加や無農薬などの厳しい安全基準を設けている「食材宅配」がおすすめです。
おすすめしたいその理由は…取り扱い商品の中から選ぶだけで安全性の高い商品を買えるため、日々のお買い物がめっちゃラクになるということ!
やみくもに原材料のチェックするの疲れちゃいますよね?実際のところスーパーではなかなか売ってないですし。
「大地を守る会」や「生活クラブ」「らでぃっしゅぼーや」では、国よりも厳しい独自基準をクリアしたこだわりの商品を取り扱っています。
添加物が入っていたとしても「この食材宅配でOKしているということは、そんなに危険じゃないのかも?避けなくてもいいかな?」と参考になります!
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