なんで市販のチョコレートには乳化剤と香料が入っているものがほとんどなの?
スーパーやコンビニで買えるチョコレートには、ほとんど使用されてますよね。
気になったので、調べてみました~!
なぜ乳化剤がチョコレートに使われるの?
乳化剤がチョコレートに使われる理由は「品質が安定するから」です。
チョコレートには「カカオマス」「油分」「砂糖」が含まれています。パッと見ちゃんと混ざっているようですが、実は完全には混ざっていなくて「同じ場所に一緒にいる」だけです。笑←すごい例えだな。
乳化剤は、カカオマスの粒と油の粒、油と砂糖の粒をつなげる役割をしてくれるのです。「同じ場所に一緒にいる→手をつないで並んでる」になる訳です。
つながっていない状態で急激な温度変化が起きると、油の粒、砂糖の粒、それぞれが塊を作ってしまい舌触りが悪くなる原因や、表面に油だけが浮いてしまう「ファットブルーム」になったりします。
お菓子作りをされる方なら分かると思いますが、特にガナッシュ(チョコレートに生クリームなどを加えてなめらかな状態にしたもの)などは、一定の条件を満たしていないと非常に分離しやすいです。添加物が入っていないチョコレートの多くがシンプルな原材料なのもうなずけます。
もちろん、乳化剤を入れないと絶対に品質が安定しない、ということではありません。
ですが、高温多湿の日本、北海道から沖縄までどの地域のお店でも常温で販売することができる、トラブルもなく良い状態のチョコレートを提供するには…?と考えれば、乳化剤を使用するのは当然のことと言えるかも知れません。
どんな陳列のされ方をするか分からないし、お客様が保冷剤つけて持ち帰ってくれるとは限らない。そりゃ乳化剤を使用してブルーミングや舌触りの悪さを回避できるのなら、使うよね~!
参考:チョコレートの乳化剤、レシチンって何?|ショコラナビ
乳化剤って危険なの?
「乳化剤 危険」などのワードで検索してみると、大腸炎を引き起こす可能性があるとか、心疾患のリスクがあるとか、「え、コワい…」と思っている方も少なくないかも知れません。
問題視されている乳化剤も一部あるようですが、チョコレートに使われている乳化剤はほとんどが「大豆レシチン」です。
「レシチン」は、食物から得ることができる脂質の一種で、細胞膜の主成分となる体にとって重要な役割を担う物質。栄養素としても欠かせない成分なのでサプリメントとしても販売されています。
大豆レシチンは安全性に問題がないとされている食品添加物ですが、「遺伝子組み換え」である可能性が高いため、遺伝子組み換え作物を避けたい方にとっては気になるところです。
近年、大豆アレルギーの方でも食べられるようにと、ごく少数ですが「ひまわりレシチン」に切り替えるメーカーも出てきました。原材料にはアレルギーのある方への対応として「乳化剤(大豆由来)」や「大豆レシチン」などと表記されています。
参考:食品安全関係情報詳細|食品安全委員会
なぜ香料がチョコレートに使われるの?
香料がチョコレートに使われる理由は「カカオには甘み成分がほぼ含まれていない」からです。一般的にカカオ(カカオマス)の割合が高いほど苦味や渋み、酸味が強くなるとされています。
なのでバニラ香料などをプラスして、甘い香りのチョコレートに仕上げているという訳です。(安価なチョコレートは、単純にカカオマスの量が少なくカカオの香りがしないから、という理由もあります。)
カカオ本来の苦みや酸味を活かすために香料を使用しない場合もあれば、多くの人達が抱く「甘いチョコレートのイメージ」をくずさないように香料を使用する場合も。なので高級なチョコレートに香料が使われている場合も数多くあります。
作り手がどんなチョコレートを作りたいかによって変わってくるってことですね。
香料ってどんなもの?安全なもの?
食品添加物として使われている香料は大きく分けて「天然香料」と「合成香料」の2つです。
「天然香料」は自生している植物から採れたものですが、土壌からの影響を受けるので個体差があり、含まれる分子にも差がありますし、不純物も含まれます。(中にはアレルギーを起こす物質が混ざっていることもあります。)
対して「合成香料」は、人工的に成分を調整して科学的につくられるため、分子の純度が高く、品質にムラやばらつきがない安定した香りです。不純物が混じっていても混入量がきちんと分かり、安全性においても基準を満たしたもののみが流通しているので「天然=安全、合成=危険」とは言えません。
香料は数種類を混ぜ合わせて使用されることが多いため、全部表示してしまうとかえって分かりにくくなることから「香料」と一括表示することが可能です。
「どんなものがどれだけ使われているか分からなくてコワい…」という気持ちも分かりますが、一般的に香料の使用量はごくわずかで、食品自体に含まれる天然香料物質よりもずっと少ないと言われています。過度に心配する必要はないと言えるでしょう。
参考:天然香料と合成香料の違いと安全性について|株式会社アート・ラボ
そもそも仕入れられない…?
乳化剤や香料がチョコレートに使われている理由のもう1つは「添加物が入っていないチョコレートを仕入れることが難しい」からです。
ます、現在のチョコレート業界の図をみてみましょう。
現在のチョコレート業界では、自社でカカオ豆を買い付け、豆の加工からチョコレート(チョコレート菓子)を作るまで一貫生産を行うメーカーもあれば、原料メーカーから材料を仕入れて製品に仕上げる製菓メーカーもあり様々です。
餅は餅屋、ならぬチョコレートはチョコレートの原料メーカーが作ることによって、消費者が手に入れやすい価格で大量生産することが可能になりました。
ですが、原料メーカーから仕入れてチョコレート菓子を作る場合、原料メーカーが添加物なしのチョコレートを作っていなければ、製菓メーカーは添加物なしのチョコレートを作ることができないのです。(作られていないかどうかは、ハッキリと分かりませんが)
食品添加物に頼らないお菓子作りを行う「ユーハイム」では、原料メーカーの協力によりユーハイムのために開発されたオリジナルの「乳化剤なしチョコレート」を使っています。(開発に8~20年かかったそう…。)
これは、ユーハイムのように多数の店舗を抱える大手企業じゃないと、なかなかできることじゃありませんよね…。
全国へ安定した品質のチョコレートを届けるためには、乳化剤の使用は致し方ない?あなたは添加物の存在をどう捉えますか?
参考:スラッシュゼロ|ユーハイム
まとめ:乳化剤や香料が使われるのはおいしいチョコレートを届けるため
これだけ健康志向、自然派志向、と言われる中、添加物なしのチョコレートがスーパーやコンビニなどでほとんど手に入らないのは、それなりの理由があるから、ですね。
こちらの記事では乳化剤や香料などの添加物が使われていない、植物油脂不使用、白砂糖不使用などのチョコレートを紹介しています。ぜひご覧ください!
お悩みが解決できたなら嬉しいです!