安い塩と高い塩って何が違うの?安い塩って危険?
塩は毎日使う調味料。ですが、500g¥100くらいのものから¥1,000円を軽く超えるものまで様々。その差は約10倍ほどにもなりますが、この値段の差って一体なんなんでしょうか?
この記事を読めば、塩の安い理由、高い理由が分かります。原材料が違う?安全性が違う?味が違う?
塩の種類と作り方の違いを知れば、あなたの欲しい塩が分かります。
安い塩と高い塩の違いとは?
- 製造工程におけるコスト
- ミネラル成分の種類・量
- 味
違いは主にこの3点!順に説明していきますね。
安い塩と高い塩の違い①:製造工程におけるコスト
まず1つめの違いは「製造工程におけるコスト」です。
どうゆうこと?
塩の作り方によって、人件費がかかる、燃料費がかかる、日数がかかる、など生産コストが違います。
たくさん作れて生産コストが抑えられている塩は安い!
ちょっとしか作れないのに生産コストがかかる塩は高い!ということ。
どのように作られたかは、パッケージの裏で確認することができます。
では、塩の種類ごとに「どうやって作られているか・なぜコストがかかるのか」を説明します!
塩の種類
岩塩
「岩塩」は、かつて海だった場所の海水が地殻変動などによって地層に閉じ込められた、いわば「海の化石」。混ざっている鉱物によって色も様々です。
日本では採ることができないため、あまりポピュラーではありませんが、実は世界の生産量の約6割を占めています。流通量が多くそんなに高価ではありません。
湖塩
塩湖から作られる塩を「湖塩」と言います。
工業用に使われることが多く、食用塩としては希少性が高いのでお値段も比較的高めです。
海塩
日本で作られている塩は海水から作られていて、作り方によって大きく4種類に分けられます。
- 天然塩(天日塩 てんぴえん)
- 天然塩(せんごう塩)
- 精製塩 せいせいえん
- 再生加工塩 さいせいかこうえん
海水の塩分濃度はたったの3%、それを結晶化するまで水分を蒸発させるにはかなりの時間を要するため「一旦濃い海水を作ってから、それを煮詰める」という方法で作られています。
なのでパッケージの裏に「天日、平釜」とあれば「海水を天日干しして、釜で煮詰めた」ということです。
天日塩(天然塩):とても高い塩
天日(太陽光や風力)だけで作られた塩のこと。
広大な土地に海水を引き入れ、太陽光と風力などの自然エネルギーだけで塩を作るため、広い土地と乾燥した気候(もしくは雨季と乾季がハッキリしている)が絶対条件。海外ではこの方法で塩を作るのが主流。
天日塩の製造方法
まず、日本で作る天日塩と、海外で作る天日塩は別物だと思ってください 笑
日本の天日塩は、作り方は様々ですが共通しているのは「とにかく手間ひまがかかる、そして日数がかかる」こと!
しかも作れる量はかなり少なく(人気の商品は予約待ちも多い)価格を高くしないと生産コストに見合わないため高価になります。
一方で海外の天日塩は、ある程度ほったらかし。日本でも多くを輸入しているメキシコの塩田は、東京23区とほぼ同じ広さ(!)の土地に海水を引き入れ、天日だけで数年かけて塩を結晶化させます。
1度に大量に作ることができ、つきっきりで作業をする必要がないため生産コストを抑えられます。そのため輸入の天日塩は価格が比較的安くなっています。
※海外で作られる天日塩でも、職人が手作業で作っている高価なものもあります。
⚫︎パッケージの記載例⚫︎
天日、乾燥、粉砕 など
天日
海水から濃い塩水を作り、さらに煮詰めて塩を結晶化させるまで、どちらも天日のみで作ること。
乾燥
塩の結晶の水分を取り除き、使いやすいサラサラの状態にする工程。
粉砕
できた塩の結晶を砕いて小さくします。
せんごう塩(天然塩):高い塩
濃縮した海水を窯で煮詰めて作った塩のこと。釜で煮詰めて塩を結晶化させることを「せんごう」と呼ぶため、こう呼ばれています。(釜炊き塩とも言われます。)
日本では「雨が多く湿度も高い」天日だけでは塩作りが難しい気候のため、古くからこの方法が一般的です。
せんごう塩の製造工程
まず濃い海水を作り、それを釜で煮詰める方法。
釜で煮詰めるには職人がついて見なければいけませんし、何時間も煮詰めるための燃料もかかります。しかも出来上がる量が少ないので、価格はどうしても高くなります。
⚫︎パッケージの記載例⚫︎
天日、逆浸透膜、平釜 など
天日
自然の力を利用して、海水から濃い塩水を作る工程
逆浸透膜(RO膜)
海水や汚染水などを飲み水に変えるための”ろ過”の技術。これを利用して真水と濃縮された海水とに分け、その濃縮された海水を利用して塩を作ります。
逆浸透膜って自然の力?科学的な工程ってことにならない?
これは意見の分かれるところかもしれませんが…
- イオン膜→ ナトリウムだけを効率的に濃縮
- 逆浸透膜→ 海水の成分比はほぼ変わらない
これが大きな違いです。もちろん薬品なども一切使われておらず、私個人としては「ハイブリッドな天然塩」だと思います。
平釜
密閉されていない釜で、海水を煮つめて塩水を結晶化します。
精製塩:1番安い塩
一般的には塩化ナトリウム量が99%以上の食塩のことを指し、塩化ナトリウムを効率的に濃縮できる「イオン膜」を利用して作られた塩。イオン膜を利用すると海水中の不純物も除去できます。
精製塩の製造工程
「イオン交換膜」という方法で海水を濃縮し「立釜」という密封された釜で塩を結晶化させます。
昭和47年(1972)以降、国の主導のもと取り入れられた手法で、広い土地もいらず、天候にも左右されず、一定の品質の塩をたくさん作ることができます。
特に立釜は、従来の釜で煮詰める方法に比べ大幅に燃料を節約できます。人の手もあまりかからない、燃料も少なくて済む、大量に生産できる、そのため精製塩は他の塩と比べて圧倒的に価格が安いのです。
⚫︎パッケージの記載例⚫︎
イオン膜、立釜 など
イオン膜
100万分の1の大きさの穴が空いた膜に電極を通し、濃い海水を作る方法。ナトリウムを高純度で採ることができます。
立釜
水は気圧の低いところでは 100℃以下で沸騰する性質を応用して作られた釜。1号缶の水蒸気の熱が2号缶を温めて、2号缶の水蒸気の熱が3号缶を温めて…と、順々にかん水を沸騰させ、塩を採ることができます。
1号缶を沸騰させるための水蒸気の熱だけで全ての缶を沸騰させられるため、従来の平釜で煮詰めるのに比べ、圧倒的に省エネ。
乾燥
塩の結晶の水分を取り除いて、サラサラにする工程。(天日乾燥は含みません)
再生加工塩:中間くらいの値段の塩
「再生加工塩」とは、主に海外から輸入した「天日塩」に、海水に含まれるニガリ成分を足して煮詰め直し、天然塩の成分に近づくよう「再加工」したもの。
再生加工塩の製造工程
メキシコやオーストラリアなどから輸入した塩を、日本で海水や水で溶かします。この際ミネラル分が失われるため、ニガリやミネラル分を添加し成分を調整します。
原料となる輸入の天日塩は安価でコストが抑えられるため、天然塩よりはリーズナブル。工程が多くなるため精製塩よりは価格が高い。
ミネラル成分も天然塩よりは少ないけど、精製塩よりは多く含まれる。と、まさに天然塩と精製塩の中間的な存在です。
⚫︎パッケージの記載例⚫︎
溶解、混合、立釜 など
溶解
海外から輸入した天日塩や岩塩を、水や海水で溶かすこと
混合
添加物(ニガリも含む)を加える、もしくは違う塩を混ぜる工程
立窯
密閉された窯で塩を結晶化する工程
なんでこんな不思議な作り方するの?
実は日本の塩作りの歴史の中で「日本の海水から天然塩を作ってはいけない」時期があったんです。そのため法に触れないよう「輸入した塩を使って天然塩に近づけた」というわけ。
日本では海に面する土地を中心に伝統的な方法で塩作りが行われてきましたが、1971年に「塩業近代化臨時措置法」が施行され塩田は全廃、国内で作る塩は全て「イオン交換膜」に切り替えられることになりました。
背景には、「低価格で高品質の海外の塩」に対抗するため、価格や需給を安定させるために、生産性を上げコストを抑える方法で塩を作ることが急がれたからです。
政府の大改革!ですが、全廃する必要あったのかな
当時、日本には「塩専売法」という法律のもと、国が厳しく製造や販売を管理していました。その中で、塩田の存続を求める消費者運動が起こります。イオン交換塩膜で作られた塩の安全性を疑問視する声や、安全な塩を自分でを選びたいという声が出てきました。
運動に賛同する消費者は次々と増えていき、塩田全廃は逃れられませんでしたが「日本の海水から直接塩を作ってはいけない」、「国が輸入した海外からの塩を原料に使う」という制約を守れば塩を作ることができるようになりました。
海外の塩を原料に、って…
なるほど!「再生加工塩」のことか!
海外の塩を原料に、輸入のニガリや国内の地下水を溶かしミネラルを添加して、できるだけ自然塩の成分に近づける塩作りが普及していったのです。
制約の中、安心して食べられる、自然塩に近いものをなんとか作ろう、という思いで作られたのが再生加工塩だったというわけですね。
ちょっと話は逸れますが、再生加工塩が普及した理由は他にも2つあります。
海水の塩分濃度はたったの3%。それを煮詰めて塩を作るのは、かなりの時間と労力、燃料をも要します。ですが輸入した天日塩を原料に使えば、濃い塩水を作る工程を省くことができるのです。
さらに再生加工塩は比較的安価な輸入の塩を原料にしているので、自然塩よりも価格が抑えられ経済的。
こうした理由もあり、再生加工塩は現在まで引き継がれてきたという訳です。
そして1997年に塩専売法は廃止され、国内での塩の製造と販売が自由化されました。5年の経過措置期間を経てようやく2002年、塩の輸入・販売も自由化されました。
私が子どもの頃は、天然塩が買えなかったってことなんですね…!知りませんでした。
参考:専売制度廃止後における 自然海塩の生産と流通|広島大学
海の精 誕生物語|海の精
伯方の塩誕生物語|伯方塩業株式会社
安い塩と高い塩の違い②:ミネラルの種類と量
2つめの違いは「ミネラルの種類と量」です。
商品名 | 食塩 (精製塩) | 伯方の塩 (再生加工塩) | シママース (再生加工塩) | 海の精 (天然塩) | ぬちまーす (天然塩) | 雪塩 (天然塩) |
価格 | ¥1.2 | ¥3.8 | ¥41 | ¥247 | ¥792 | ¥670 |
食塩相当量 (ナトリウム) | 99.0g | 95.5g | 93.2g | 86.36 g | 73.34g | 72.6g |
カルシウム | ー | 50~200mg | 190mg | 400 mg | 440mg | 832mg |
カリウム | ー | 10~150mg | 110mg | 240 mg | 1140mg | 1000mg |
マグネシウム | ー | 100~200mg | 150mg | 700 mg | 3620mg | 3310mg |
その他のミネラル | ー | ー | ー | ー | 17種類 | 10種類 |
精製塩にはナトリウムしか含まれていませんが、天然塩には多くのミネラルが含まれているのがわかります。
商品によって全然違いますね〜
【選び方のポイント】
ナトリウム以外のミネラルを含む塩が欲しいなら「天然塩」か「再生加工塩」を選びましょう!商品によって含有量は違うので、パッケージ裏の栄養成分表示の確認をお忘れなく。
安い塩と高い塩の違い③:味
3つめの違いは「味」ですが、厳密に言えば味は商品によってそれぞれ違います。安い塩だからまずい、高い塩だからおいしい、というわけではありません。
塩の味は含まれるミネラルの割合によって変わります。
- ナトリウム → 辛味
- カルシウム → 甘味
- カリウム → 酸味
- マグネシウム → 苦味
ほぼナトリウムだけしか含まれていない精製塩は、辛味(=しょっぱさ)が強く、雑味のないキリッとした味。
一方、ナトリウム以外にもミネラル成分が多く含まれる天然塩や再生加工塩は、甘味や苦味などいわゆる「旨味やコク」があり味わい豊か。
料理人は塩の特徴に合わせ、目的によって使い分けているようです。
いろいろな種類の塩を試してみると、味の違いを発見できて面白いですよ〜♪
【選び方のポイント】
塩の味を活かした味付けをするなら「天然塩」か「再生加工塩」、塩もみやパスタを茹でるなどの下処理に使うならリーズナブルな「精製塩」や「再生加工塩」がおすすめ!
安い塩は体に悪い?高い塩なら大丈夫?
塩分の摂りすぎは体に良くない!特に日本人はお漬物やお味噌汁で塩分過多になりがち、気を付けましょう、なんてもはや常識。みんなが知っていることですよね。
安い塩は体に悪いって聞いたことある…
なんでそう言われているのかな?
その理由は高い塩(天然塩)に含まれるミネラル。ミネラルは骨などの体をつくる材料になったり、体の調子を整える重要な役割をしています。
中でも特に注目したいのが「カリウム」。カリウムは身体の余分なナトリウムの排出を促す働きがあるため、カリウムを摂ると高血圧の予防に役立つと言われています。
なるほど!それでか!
そのため、ミネラルが多く含まれる天然塩は体にいい、と言われているんですね。(天然塩でも7~8割はナトリウム、塩であることには変わりありません。天然塩であっても塩の摂りすぎには注意です。)
「天然塩を摂っていればミネラルのバランスが整う」ということはありませんが「ナトリウムだけしか摂れない精製塩」は、積極的に摂りたい塩ではなさそうです。
毎日使う調味料だからこそ、どんな塩を摂るべきか考えたいものですね。
参考:ナトリウム|e-ヘルスネット(厚生労働省)
使いやすい塩ってどんな塩?安い塩は使いにくい?
塩の結晶は基本的には左の写真のような「サイコロ状」です。成長する時の環境や条件によって、さまざまな形の結晶ができます。
塩の粒(結晶)の大きさや形は、くっつきやすさや溶けやすさに関係します。
サラサラでくっつきにくい塩はふりやすい
下ごしらえの際に行う「ふり塩」は、サラサラで粒の細かい塩が使いやすいですよね。これには「精製塩」が最適です。
「天然塩(特にせんごう塩)」は、しっとりとして湿り気があるため、均一に塩をふるのは至難の業。
粒が小さい、フレーク状は溶けやすい
温かい料理に煮溶かすようなものならあまり気になりませんが、常温の場合、溶けにくいのはちょっと…。ドレッシングを作ろうと思っていつまでも溶けないのは困りますよね。
天然塩で粒がそろっていない、大きい粒があるような物は、少し使いづらいと言えます。
いびつな形はかさばりやすい
同じ「小さじ一杯」でも、種類によって量=重さが違うので注意が必要です。
【選び方のポイント】
料理の下ごしらえ(特にふり塩)には精製塩やサラサラとしたタイプの塩がおすすめ。ある程度、粒が均一なタイプが料理には使いやすいでしょう。
参考:塩の選び方|公益財団法人塩事業センター
安い塩は危険?高い塩なら安全?塩の安全性は?
何をもってして安全というかは非常に難しい問題ですが、いろんな基準で考えてみましょう。
不純物
「精製塩」はイオン膜を利用した際に不純物も取り除かれるため「世界でもトップクラス」と言われる安全性です。(しかも濃縮する工程でできちゃうので生産コストは抑えられます)
「天然塩」は海水を汲み上げた際に目の細かいフィルターで何度も”ろ過”したり、最終製品を目視で検品したりと、メーカーそれぞれに安全策を講じています。(工程が増える、人の手がかかるため、価格が高くなります)
再生加工塩も、原塩を溶かす際に”ろ過”することで不純物は取り除かれています。日本で作られる塩に関しては、安い塩、高い塩、どれも安全と言えます。
価格の差は「生産コストが抑えられる安全策か?」ということですね。
マイクロプラスチック問題
いろいろと調べてかなり長くなったので、ご興味ある方はこちらをどうぞ。↓
本当に安全な塩って…? 塩に含まれる不純物、マイクロプラスチック問題
塩って海水から作られていますが、どこの海でも汚染が進んでいるのは周知の事実。
海水の汚染成分には細菌類、石油類、洗剤などの生活排水、船底の塗料などさまざまなものがあります。もちろんマイクロプラスチックもその1つ。
2018年10月、韓国の研究者グループと環境保護団体「グリーンピース東アジア」の合同チームが調査・研究した結果、世界の食塩ブランドの9割(39品目のうち、36品目)でマイクロプラスチックが検出され大きな話題に。
日本の塩はこの調査の対象には入っていませんでしたが、気になるところですよね。
と、いうことで調べてみました!
塩に含まれるマイクロプラスチック
マイクロプラスチックは ”5 mm 以下のプラスチックごみ”と定義されています。
イオン交換膜電気透析槽に装着されたイオン交換膜は、1 nm 以上の溶存物質を透過しないた め、MPs を含めた濁質が製品に混入することは非常に困難である。
塩中のマイクロプラスチックの分析
イオン膜で塩を作る際には、数千枚の膜をセットにして重ね合わせて使うので、混入することはないと考えて良さそうです!日本の塩がトップレベルの安全性と言われる要因はまさしくこれですね、
イオン膜で作られた精製塩にはマイクロプラスチックはほぼ含まれていないと考えて良し!
イオン交換膜法以外で多く利用されている製塩方法は、溶解再生法である。ー(中略)ー 溶解再生法では、この天日塩を原料とし,海水等で溶解したかん水を用いて製造される。この製塩工程は、ろ過による清澄化などの分離プロセスを有するため、MPs が混入するリスクは少ないと思われる。
塩中のマイクロプラスチックの分析
再生加工塩にも、マイクロプラスチックは含まれていない可能性が高いと思われます!
天然塩(自然塩)は…?海水をそのまま天日干しや、釜で煮詰めるんだよね…
天然塩に含まれていないか、気になりますよね!
こちらは国内で販売されている食塩を対象に、マイクロプラスチックの混入実態を調査した論文をわたくしがまとめたもの。(わたくしでごめんなさいね?)
- 複数の食塩から検出された物質は、硫酸カルシウムやケイ酸塩の鉱物成分
- 国産の食塩1種類から検出された物質は、0.124mmの”ウレタン”である可能性が高い
- 日本人が1年間に食塩から摂取するマイクロプラスチックの平均個数は1.4個
- クロアチア 1,460〜36,135個、中国 219〜1,310個、アメリカ 85〜547個、イタリア 9.1〜107個、韓国 182〜547個と試算されていて、国産食塩のマイクロプラスチック量は極めて低い
- なんなら室内ダストからの暴露量の方がはるかに多い
結論!天然塩にはわずかに含まれるが、諸外国と比べると圧倒的に少ない!
さらに、市販食塩の品質調査の結果も見てみましょう。「不溶解分」とは字の如く、溶けずに残っているもの。検出されたものの中では、土砂成分が1番多かったそうです。
参考:市販食塩の品質調査結果|公益財団法人 塩事業センター
メーカー各社の取り組み
天然塩を製造しているメーカーでは、自主的に様々な取り組みを行っています。
海の精 の取り組み
海の精の塩づくりでは製造工程毎に複数のろ過工程がございます。
ご購入のお客様の声|プレマ びんちょうたんコラム
報道されている塩に混入しているマイクロプラスチックは
1㎜前後の大きさがほとんどで、最小でも0.15㎜(150マイクロメートル)程度ですが、
海の精では遥かに細かいフィルターを通してろ過を行っております。
このろ過工程は、特にマイクロプラスチック対策というわけではなく、当初より行われていた塩作りの工程だそうです。
謙虚っ!
青い海 の取り組み
公式サイトには取り組みが謳われていませんでしたが、「株式会社 青い海」は生活クラブの提携生産者。生活クラブがマイクロプラスチック残留検査を依頼し、外部機関で調査した結果が掲載されていました。
すべての塩でマイクロプラスチックは不検出(検出限界:1ppm)、0.001mm〜0.003mmのフィルターによるろ過を何度も行い、海水に含まれる不純物を取り除いたのち、塩の結晶化を行っているそうです。
参考:消費材「真塩」「海水塩」のマイクロプラスチック残留検査結果をお知らせします|生活クラブ
カンホアの塩 の取り組み
「カンホアの塩」はマイクロプラスチック対策として塩を結晶させ始める直前の、濃くなった海水を、目開き95マイクロメートルのフィルターにかけています。
もちろんこれより小さいものは通り抜けてしまいます。完全にゼロにすることは不可能ですが、少しでも良くなるように、と取り組みをされている姿勢には頭が下がります。
汚染物質が多すぎて精製塩しか選択肢がない、なんて世の中になってしまうのは避けたいですね。
参考:FAQ回答集|天日海塩 カンホアの塩
製造工程においての安全性
これについては、様々な意見があります。
精製塩の製造工程で海水を濃縮する「イオン膜」は、電気透析と言われる方法で海水を濃縮するのですが、電流を流すという「化学的な方法」のため「できあがったものは、塩ではなく化学物質!」という声も聞かれます…
また、「逆浸透膜」を使い海水を濃縮する方法も「昔ながらの自然な方法ではない!」として嫌われていたり…
個人的にそれは言い過ぎ?と思ってしまいますが…
どうやら「手間ひまかけた手作り=良いもの」で、「化学的な技術で大量生産=悪いもの」という価値観で判断されているような気がします…
【選び方のポイント】
昔ながらの伝統製法で作られた塩が良いなら「天日、平釜」などの工程で作られた「天然塩」を選びましょう!
安い塩と高い塩、原材料は違うの?
種類 | 商品名 | 原材料 |
精製塩 | 食塩 | 海水 |
再生加工塩 | 伯方の塩 | 輸入天日塩田塩(93% メキシコまたはオーストラリア)、 海水(7% 日本) |
赤穂の天塩 | 天日塩(オーストラリア) 粗製海水塩化マグネシウム(ニガリ) | |
シママース | 天日塩(89.3%メキシコまたはオーストラリア)、海水(10.7%沖縄県) | |
天然塩 | ぬちまーす | 海水(沖縄県宮城島) |
雪塩 | 海水(沖縄県宮古島産) | |
海の精 | 海水(伊豆大島近海) | |
カンホアの塩 | 海水(ベトナムのカンホア) | |
ゲラントの塩 | 海水(フランス) |
塩の原材料は、元をたどれば全部「海水」です。(岩塩も湖塩も)
再生加工塩の原材料は
- 輸入した天日塩と海水 ← 海水から作った塩と海水
- 輸入した天日塩と水+ニガリ ← 海水から作った塩と水+もともと海水に含まれているニガリ成分
全部、海水やん。
「原材料」の良し悪しがおいしさを決める!ということが前提にあるので、「安い塩=粗悪な原材料」と思われがちですが、塩に限っては当てはまりません。
塩は製法によって味や価格が変わりますが、原材料はどれも同じ「海水」からできたものです。
ただ、場所の違いは考慮するポイントかもしれません。ミネラル含有量が多いことで有名な「ぬちまーす」や「雪塩」はどちらも沖縄県産です。
おすすめの安い塩・高い塩 6選
【再生加工塩】シママース
海外の天日塩を沖縄の海水で溶かし、平釜でじっくりと時間をかけて煮詰めた再生加工塩。乾燥は3日間自然脱水する昔ながらの製法で、沖縄の伝統的な塩づくりを守りながら、安全な商品を届けようという心意気を感じます。
「とりあえず精製塩じゃない塩を使ってみたい」と考えている方におすすめ。驚きのコスパなので惜しげもなく使えます!
原材料名:天日塩(メキシコまたはオーストラリア)、海水(沖縄県)
工程:溶解、平釜
安全性:沖縄の塩産業で唯一、ISO22000認証を取得!
粒の大きさ:中粒
⚫︎推しポイント⚫︎
日本の海水から塩を作れなかった歴史の中で、いかに伝統的な製法に近づけようと作られたのかが分かる「平釜で結晶化」!
【天然塩】海の精 あらしお
天日と平釜による伝統製法で作られている天然塩。塩好きな方からの支持も熱いこだわりの1品。
私も愛用中ですが、食べる前は「そんなに差があるものなの?」と思ってましたが…とにかくおいしいから食べてみて?の一言。
尖った塩辛さは一切なく、細かな粒子がすうっと溶けて旨みに変化します。「もはや塩ではない、旨み。」そんな感覚の塩です。←あくまでも個人の感想です。
わりと味オンチな夫がこの塩のおいしさには気付いた!すごすぎる!笑
しっとりとした感触で、指でつまんだ時にはかたまりですが、パラパラ〜っとすると指に残っているのはかなり小さな粒子。なのでおにぎりにもかけやすい。
初めての天然塩選びに迷ったらコレ!なイチオシ商品です!
原材料名:海水(伊豆大島)
工程:天日、平釜
安全性:0.15㎜よりはるかに細かいフィルターでろ過
粒の大きさ:中粒
⚫︎推しポイント⚫︎
日本の伝統的な塩作りを守ろうと、ずっと活動を続けてきたパイオニア的存在!
【天然塩】ぬちまーす
宮城島の太平洋側の海水のみを使用。特許を取得した「常温瞬間空中結晶製塩法」で作られています。
他の天然塩とは比べ物にならないならないほどミネラルが含まれ、その食塩相当量は73.34g!(一般の食塩に比べると25%も低い!)
世界一多様に海洋成分を含んでいるとして2000年にギネス認定を受けています。(現在このカテゴリーは無くなったため、世界1、やギネス認定、とは謳えないそうです。)
原材料名:海水(沖縄県宮城島)
工程:逆浸透膜、噴霧乾燥、低温焼成
安全性:定期的に外部機関で調査を依頼→未検出
粒の大きさ:シルクソルト(超微細)
⚫︎推しポイント⚫︎
とにかくナトリウム以外のミネラルが豊富!あまりの人気にしょっちゅう欠品しています。
【天然塩】 青い海
沖縄の糸満沖合約2000mから取水した海水が原料。昔ながらの釜だき製法です。青い海では「ISO22000」を取得したり、定期的に放射能検査の結果を公開するなど、安全への取り組みに力を入れています。
塩なのに、ほのかな甘味を感じるとの口コミ多数!
原材料名:海水(沖縄県)
工程:逆浸透膜、平釜、平釜
安全性:沖縄の塩産業で唯一、ISO22000認証を取得!
粒の大きさ:中粒
※ISO22000:衛生面を含めた食品安全管理を実践するためのマネジメントシステム規格のこと
⚫︎推しポイント⚫︎
天然塩でこのお値段?!のリーズナブルな商品!
ライフのプライベートブランド「ビオラル」のこちらの商品は「青い海との共同開発」とのこと!
原材料も工程も全く一緒なので、青い海と同じ商品かなぁ?と思って公式サイトで栄養成分を確認してみたみましたが違いました。全く同じ成分量の商品はなかったです。
あくまでもビオラル用に作られたものなんでしょうね。ちょいちょい大きい粒が混じっていて、指でつまんでググッと圧をかけたところで潰れません…。
個人的には大きい粒、あんまり好きじゃないです。チャーハンに使ったら「でっかい粒あった!」と子どもからクレームが 笑
大きい粒の場合、他にサラサラタイプなどとのW使いがおすすめです。
【天然塩】雪塩
宮古島周辺の琉球石灰岩が天然のろ過装置となった、海の不純物が取り除かれた地下海水を原料にしています。
加熱ドラムと呼ばれる「海水を加熱した金属板に吹きつけて結晶化」する製法。瞬時に水分が蒸発するためニガリを閉じ込めることができます。
原材料名:海水(宮古島)
工程:逆浸透膜、加熱ドラム
安全性:琉球石灰岩による天然のろ過フィルターで不純物を取り除く
粒の大きさ:パウダータイプ(微細)
⚫︎推しポイント⚫︎
他の塩とは海水の採取方法も製造工程も一味違う!美しい沖縄、宮古島の海水の成分をそのままに、というこだわりの塩です。
【天然塩】カンホアの塩
海水だけを原料に、天日だけで塩を結晶化させ、溶けやすいよう石臼で挽いて粉砕。さらに天日で乾かすというこだわり抜いた製法で作られた塩。
公式サイトを見れば、どれだけの情熱を持って塩づくりをされているのかが分かります。この記事を書くにあたり、たくさん勉強させていただきました。カンホアの塩 公式サイト
欠品中なことが多く、なかなか手に入りづらい商品ですが、あまりのおいしさに業務用20kgを購入する猛者も出るほどの人気ぶり。私もいっぺん食べてみたい塩No. 1です。
原材料名:海水 (ベトナム・カンホア)
工程:天日、粉砕
安全性:マイクロプラスチック対策として目開き95マイクロメートルのフィルターを採用
粒の大きさ:石臼挽きは中粒 結晶のままは大粒
⚫︎推しポイント⚫︎
とにかく塩の知識と味へのこだわりがすごい!国産の天然塩が多い中、カンホアで作り日本国内でのみ流通させている、というのもここで作る塩が最高!という自信の表れです。
小さいサイズは欠品中なので、こちらのリンクは業務用です。ご注意ください。↓
まとめ:安い塩と高い塩、種類と違いを知れば選ぶべき塩がみえてくる?!
いかがでしたでしょうか?
一口に塩と言っても様々な種類の塩があり、ミネラル含有量や味が違うことがわかりました。「本物」と言われる調味料は、時間と手間が惜しみなくかけられています。確かに高いかも知れませんが、納得のお値段と言わざるを得ません。
品質・安全性の高い調味料は、高いけど、おいしい!と常々私は感じております。良いものを選びましょう。それだけの価値があります。
自宅の近くで納得できる品質のものが売ってない!できるだけ安全なものを口にしたい!それなら、無添加や無農薬などの厳しい安全基準を設けている「食材宅配」を始めてみては?
おすすめしたいその理由は…取り扱い商品の中から選ぶだけで安全性の高い商品を買えるため、日々のお買い物がめっちゃラクになるということ!
やみくもに原材料のチェックするの疲れちゃいますよね?実際のところスーパーではなかなか売ってないですし。
「大地を守る会」や「生活クラブ」「らでぃっしゅぼーや」では、国よりも厳しい独自基準をクリアした信頼できるメーカーの「本物の塩」など、こだわりの商品を扱っています。
添加物が入っていた場合「この食材宅配でOKしているということは、そんなに危険じゃないのかも?避けなくてもいいかな?」と参考になります!
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