醸造酢に添加物は使われている?どのお酢なら安全?
お酢って種類がたくさんあって、どれを選べばいいのか分からないまま、なんとな~く選んでませんか?
醸造酢とは?基本知識と種類
醸造酢の種類と特徴
上記の表から分かるように、醸造酢とは酢の分類でありその中には「穀物酢」や「米酢」、「果実酢」などが含まれています。
流通しているほとんどのものが「醸造酢」です!
醸造酢と他の酢の違い
合成酢
合成酢とは、氷酢酸(純度98%以上の酢酸のこと)や酢酸を水で薄めて、これに砂糖類や調味料、食塩などを加えて製造したものです。
沖縄など一部地域では「酢といえば合成酢」といわれるほど生活に馴染んだ味となっていますが、生産量も少なく、他の地域では家庭用にはほとんど出回っていません。
加工酢
加工酢とは「食酢」に、調味料などであらかじめ味をつけているお酢のこと。(すし酢や三杯酢、ポン酢など)
食材に混ぜるだけ、かけるだけで簡単・便利に調理ができるため「調味酢」とも呼ばれ、その人気は年々高まっています。
調味酢
お酢の特有のツンとくる香りが少なく、浅漬けやピクルスなどこれ1本で味が決まる!ので便利な反面、原材料には気になる添加物が使用されているものも…。
ほとんどの調味酢には「調味料(アミノ酸等)」いわゆる化学調味料が添加されています。
また、最近は低糖質タイプの商品が増えており、それらにはステビアやラカントなどの低糖質な甘味料が使用されています。
まれに人工甘味料が使われているものもあります。
添加物を避けたいのであれば、調味酢は買わずにご自身で作ることをおすすめします!かなりたくさん入ってるものが多い!
※果糖ぶどう糖液糖:とうもろこしやさつまいものでんぷんに酵素を添加し、分解して作られたもの。原料が植物であるため人工甘味料には該当せず、食品添加物でもありません。砂糖より安く作れるため様々な食品に使用されています。
すし酢
ちらし寿司など、お家で手軽にすし飯を作りたい時に便利な「すし酢」。ですが、市販のものは調味料が入っていることがほとんど。しかも酢より糖類の割合が多いものまで…。
加工酢を購入する際は、原材料は忘れずにチェックしておきましょう!
醸造酢は無添加?添加物は使用されている?
日本農林規格において、醸造酢で使用可能な添加物は以下のように定められています。
次に掲げるもの以外のものを使用していないこと。ただし、米黒酢にあっては一切使用していないこと。
醸造酢の日本農林規格|全国食酢協会中央会
- 1【調味料】L-アスパラギン酸ナトリウム、5’-イノシン酸二ナトリウム、5’-グアニル酸二ナトリウム、L-グルタミン酸ナトリウム及びコハク酸二ナトリウムのうち3種以下
- 2【酸味料】クエン酸、DL-酒石酸(ぶどう酢に使用する場合に限る。)及び乳酸のうち2種以下
- 3【着色料】カラメルⅢ(果実酢以外のものに使用する場合に限る。)
商品によっては上記の添加物が使われている、ということです。
わりといっぱい使えるんですね…。
米酢の原材料を比較
メーカーや商品によって実に様々です!ここに挙げたのは大手メーカーから業務用まで。シンプルな原材料のものもあれば「もはや調味酢では?」なものも。
業務用はおすすめしません!
穀物酢の原材料を比較
原材料は多種多様ですが、添加物が使われているものはほとんど見つかりませんでした。
果実酢の原材料を比較
リンゴ酢に添加物が使われていることはあまりないようです。
バルサミコ酢に使用されていることが多い添加物は「着色料と酸化防止剤」です。酸化防止剤として使用される亜硫酸塩は、ワインを製造するために欠かせないもので古代ローマ時代から使われています。
(お酢はまずお酒を作ってから酢酸発酵させるので、ぶどうのお酒=ワインを作るために使われます。亜硫酸塩はワインの製造過程で自然にも生成されるため、亜硫酸塩ゼロのワインはありません。)
亜硫酸塩の有無は、何かの賞を受賞している、何年も熟成している、とか、あんまり関係ないので気になる方は原材料の確認を。
もちろん、このような商品もあります。
醸造酢の添加物が気になるなら業務用を避けよう!
調べてみたところ、添加物が使われている醸造酢は、そんなに多くない印象です。
醸造酢の原材料、製法について
では、私達になじみの深い「米酢」の製造工程を例に見てみましょう。
米酢の原材料は「米と水と米こうじ」。精米したお米を蒸し、水と米こうじを加えてまずは「お酒」を作ります。
できたお酒に種酢(お酒から酢を製造する際に、酢酸菌を繁殖させるため原料に添加する酢酸菌、または酢酸発酵したもろみのこと。)を加えて加温し発酵させます。
ここで出来上がりかと思いきや、できたばかりの酢は酢酸菌による刺激臭が強く飲める状態ではありません。そのため1~2か月かけて熟成させ、まろやかな味の酢になってようやく完成です。
まずはお酒を作るんですね~、そして作るのに意外と長い期間かかってます!
酢酸発酵とは?
お酢を作る上で欠かせない「酢酸発酵」とは、酢酸菌の働きにより、アルコールから酢の主成分である酢酸を生成すること。
酢酸菌は、アルコールを酢酸に変える細菌の総称で、空気中にたくさん存在しており、梅の実やぶどうの果実、りんごや柿の皮、花やはちみつにも存在しています。
どの原料でお酒を作り酢酸発酵させるかによって、様々な酢に変化します。米から作れば「米酢」、大麦なら「モルトビネガー」、ぶどうなら「ワインビネガー」になります。
参考:酢酸菌とは|みんなの発酵BLEND
発酵方法にも種類がある
お酢は「酢もともろみ」と呼ばれるお酢作り用のお酒を作り、そこへブースターのような役割の「種酢」を入れ酢酸発酵させます。
この発酵方法には2種類あり、伝統的な「静置発酵法」と、現在の主流である「速醸法/(全面発酵)」です。
酢酸菌は空気に触れる面で発酵するため「静置発酵」では液の表面でしか発酵が進みません。それに対し「全面発酵」は、機械で人工的に空気を送り込み、液全体で発酵を進めるため速くお酢が作れます。
期間 | 味・風味 | 生産コスト | |
静置発酵法 | 2~3ヶ月 | うま味・コクがある | 低い たくさん作れない |
速醸法(全面発酵) | 1日~数週間 | あっさりとした風味 | 高い 大量生産が可能 |
酸っぱいだけじゃない、まろやかなうま味とコク深い香りのお酢なら「静置発酵」を選びましょう!
醸造酢の原材料の安全性は?
米酢 原材料の安全性
米酢は、その名の通り「米」が原料のお酢ですが…
お米なら100%国産って思ってない?
日本における米の自給率はほぼ100%で、主食となるお米は国内産でまかなわれています。しかし、加工用のお米にはMA米が使われています。
MA米って何?
ミニマム・アクセス米の略で,日本が海外から最低限輸入しなければならない米のこと。ー中略ーMA米は主食用には流通させず,みそや焼酎などの加工用,海外援助用に回されることになったが消費しきれず,年々備蓄米として在庫が増える一方になっている
エムエーまい【MA米】|学研キッズネット
実際にこのような原材料の米酢もスーパーなどではたくさん並んでいます…。
お米が原材料だから国産でしょ!との思い込みは危険!安全性を重視するなら原材料は必ず確認しましょう。
米黒酢 原材料の安全性
米黒酢は、鹿児島県などの名産品として知られ「体にいいお酢」として一時期大ブームを巻き起こしましたが、その陰で「着色料などで、黒い色を付けただけのお酢」が出回ってしまう事態が発生。
そのため、JAS規格で「米黒酢」の規格基準が設けられました。
米黒酢は、精白していない米を穀物酢1Lにつき180g以上使用したもの(副原料として小麦、大麦の使用は認められる。)で、発酵、熟成によって褐色又は黒褐色に着色したものです。
食酢の定義・分類|全国食酢協会中央会
精白していない米=玄米から作られたお酢で、着色料などは用いず、長期間の発酵・熟成により色味が深い琥珀色に変化したもので、添加物の使用は一切認められていません。
手間ひまかけて作られた黒酢は安全性が高いといえますね!ちょっと高いけど 笑
穀物酢 原材料の安全性
穀物酢は、原材料の穀類が複数組み合わされていることが多く、価格が抑えられるコーンが使われる傾向にあります。
輸入のコーンは、遺伝子組み換えの比率が高く推定輸入比率は87%。ほぼ遺伝子組み換えであると考えてよい状況です。
コーンの他に使われることが多い小麦は、遺伝子組み換えのものは国内では流通していませんが、ポストハーベスト農薬の危険があります。
「ポストハーベスト農薬」とは、収穫後に散布される農薬のこと、輸送中に害虫やカビなどが発生しないよう、収穫後に直接農作物に使用されるため、当然残留量が多くなります。
✔︎ 残留農薬の検査は厳しく行われ、食品衛生法で残留基準が設定されていますが、微量であっても残っていることは事実。ならばポストハーベストが原則的に禁止されている国産原料の方が安心です。
安全性を優先するなら穀物酢は避けたほうが無難かも…。
果実酢 原材料の安全性
ぶどうから作られる「ワインビネガー」や「バルサミコ酢」、りんごから作る「りんご酢」など、果実の種類によって実に様々な種類があります。
パパイヤ以外の果物で遺伝子組み換えの作物は流通していませんが、輸入であればポストハーベスト農薬が使用されていると思います!
原材料も商品によって様々。納得できる原材料か確認してから購入しましょう!
※ポストハーベスト農薬:収穫(ハーベスト)された後(ポスト)に、果物や穀物、野菜に散布する農薬のこと
有機JAS認証は安全の目安の1つ
有機JAS規格では、遺伝子組み換え品種や原材料の栽培・使用は禁止となっているため「国産または有機JAS」表示が付いているものであれば、遺伝子組み換え原料を避けることができます。
また、農薬についても「化学的に合成された肥料及び農薬の使用は基本的に禁止」されていますので、一定の安全性は確保されている商品と言えるでしょう。
醸造酢 よくあるQ&A
アルコールが入っているものがあるけど…?
原材料を確認すると、アルコールが入っているお酢を良くみかけるけど…
なぜアルコールが必要なの?
簡単に言うと、安く作ることができるからです。
お酢の製法をおさらいしましょう。お酢はまずお酒をつくり、それを酢酸発酵させたものですよね?例えば、お米から作るお酒の半分をアルコールに置き換えたとしたら、何の量を減らせるでしょうか?
答えは「お米」!原料の米の量を減らせるんです。
JAS規格では、米酢の定義は「お酢1Lにつき米の使用量が40g以上のもの」とされています。実は米だけでお酢を1L作ろうとすると、最低でもお米は120g必要です。その足りない分をアルコールで補う、ということです。
お酢の原料は様々ですが、アルコールに比べると原料となる小麦やトウモロコシ、果実は高価です。(特にお米はかなり高い)そのためアルコールを添加して原料を減らし、コストを抑えているという訳。
うま味のもとである原料を減らしているので、さっぱりとした味わいになります。
米酢?純米酢?どう違う?
分類上、どちらも米酢ですが「原材料がお米のみ」なら「純米酢」と表示することが可能です。単一原料から作られたものに「純」とつけることができるのです。
他にも「純りんご酢」や「純ワインビネガー」などがありますよ。
一方、アルコールなどを加えて作ったものは、米酢と表示されます。
味にも違いがあり、純米酢は米特有の風味とコクがあり、まろやかな味わい。米酢はスッキリと軽く、あっさりとした味が特徴です。
安全性・無添加にこだわるなら、純米酢を選ぶといいですね!
米酢と穀物酢どっちがいい?
安全性については前述した通り、米酢(特に純米酢)に軍配が。では、味はどうでしょうか?
米酢 味の特徴
- お米特有の甘みとうま味があり、キツすぎないまろやかな酸味が特徴
- すし飯や酢の物など、日本料理に合うのは米酢!加熱すると香りが飛んでしまう
穀物酢 味の特徴
- クセが少なく、スッキリとした酸味が特徴
- 加熱しても香りが残りやすい
レシピに「米酢」とあって「穀物酢」を使ったら酸味がキツすぎた!なんてこともあります。できれば使い分けがおすすめ。
体にいいお酢って何酢なの?
お酢に含まれる酢酸には以下のような健康効果が認められています。
- 疲労回復効果が期待できる
- 食後の血糖値の上昇をおさえる
- 高めの血圧を低下させる
- (肥満気味の方の)内臓脂肪を減少させる
米酢、穀物酢、果実酢、すべてに酢酸は含まれていますので、体への効果は同じです。
しかし、「黒酢」にはアミノ酸やビタミン、ミネラルが豊富に含まれており(アミノ酸は一般のお酢の約10倍と言われています)さらなる健康効果が‼
黒酢には、血液をサラサラにしたり、美肌効果があったり、抗アレルギー作用があるとの論文もあり、メリットがいっぱい!
飲用としてなら「黒酢」が絶対におすすめです!5倍くらいに薄めて毎日の食生活に取り入れましょう。
参考:酢の力|ミツカングループ企業サイト
鹿児島の壺造り黒酢の新たな健康機能性|J-stage
醸造酢の選び方
結局のところ…どのお酢を選べばいい?
普段使いの1本なら「純米酢」、健康のために毎日飲むなら「黒酢」です。
前述した通り、安全性を優先するなら国産原料を使用した「純米酢」を選びましょう。様々な和食に合わせやすいので、台所に1本常備するなら間違いなくコレ。
毎日の習慣として取り入れたいのは、他の酢に比べて健康効果が高い「黒酢」です。まろやかな酸味で甘みが強く、濃厚なコクと芳醇な香りが特徴ですが、商品によってクセがあるものがあり、好みが分かれることも。
黒酢を調理に使うとコクがあって病みつきになる、との声も。少量のサイズで好みに合うか試してみるのもおすすめ!
醸造酢の賞味期限と保存方法
賞味期限
全国食酢協会中央会の作成したガイドラインによると、生産量の多い穀物酢、米酢の賞味期限は未開封の状態で2年間とされています。
食酢はそれ自体に防腐力があるため保存性が高く微生物による品質変化は少ないものの、色や香り、味などは時間が経つと劣化することから、それらの変化や濁り及び沈殿物の発生を賞味期限の目安としています。
種類 | 開封後の賞味期限 (常温) | 開封後の賞味期限 (冷蔵庫) |
米酢 穀物酢 | 6ヶ月 | 1年 |
リンゴ酢 黒酢 | 3ヶ月 | 6ヶ月 |
調味酢 すし酢 | ー | 3ヶ月 |
参考:食酢の賞味期限設定の考え方(抜粋)|全国食酢協会中央会
お酢の使い分け|ミツカングループ
保存方法
開封後は、瓶のフタをしっかり閉めて、直射日光を避け冷暗所で保管。ですがあんまりしょっちゅう使わないな、という場合には冷蔵庫での保管がおすすめです。
酢酸菌は空気中に存在するため、空気に触れると再発酵が始まり、白っぽく濁ったり、浮遊物が発生することがあります。時間とともに酸味は強くなりますが、あまりにもキツい刺激臭のようなものはアウト。
加工酢の場合は、糖類や調味料が含まれているため食酢に比べ賞味期限が短いです。開封後は必ず冷蔵庫で保管しましょう。
ど~しても使い切れそうにない場合、お掃除に使うという手もあるよ!
おすすめの醸造酢
飯尾醸造
飯尾醸造は創業は明治26年、130年続く京都のお酢屋さん。いい酢はいいお米から、なんと米作りから手掛け、良い素材を惜しみなくたっぷり使い、手間ひまかけたこだわりのお酢を作っています。
「純米富士酢」は、農薬不使用栽培の米と山から湧き出た伏流水で作られた飯尾醸造の看板商品です。
原材料:米(京都府丹後産)
製法:静置発酵、長期熟成
戸塚醸造店 心の酢(純粋米酢)
有機栽培米と富士山伏流水を原料に、昔ながらの伝統的な製法で作られた「心の酢」。濾過剤や濾過機を通さず上澄みのみを使用するという驚きの製法。
原材料:有機米(山形産)富士バナジウム水
製法:静置発酵、長期熟成、無ろ過
ビオ・マルシェ 有機純米酢
有機野菜をはじめ、厳選されたオーガニック食品の宅配サービスを行う「ビオ・マルシェ」のお酢。契約農家に生産委託した国内産の有機米を使用し、静置発酵で作られたお酢は、独特の深みをうま味を持つ味わい。
原材料:有機米(国産)
製法:静置発酵
ミツカン 純米酢金封
安心できる国産原料の純米酢を探しても、スーパーなどでは驚くような値段のものか、米酢になってしまう…そんな悩みを解消してくれるのがこちら。
手の届きやすい価格で、大手メーカーのため販路も広く手に入りやすい。まずはこれからどうぞ、な1品。
原材料:米(国産)
福山酢醸造 玄米黒酢
黒酢といえば青い空の下、壺がずら~っと並んでいるところを想像する方も多いのでは?まさしく200年続く伝統の「露天かめ壺仕込み」の黒酢です。
自然の力を借り、半年~1年じっくりとかめ壺で熟成させた、まろやかな香味。料理にはもちろん飲用として購入されている方も多い1品です。
原材料:玄米(国産)
製法:露天かめ壷仕込み、長期熟成
庄分酢 ショウブン有機純りんご酢
有機のりんご果汁のみで作られた純リンゴ酢。300年に渡り続く一子相伝の製法で作られた伝統の味。
原材料:有機りんご果汁
製法:静置発酵
まとめ:添加物の少ない安全性の高い醸造酢を選ぼう!
いかがでしたでしょうか?
安全性が高いのは「国産の純米酢」もしくは「黒酢」でしたね。これらに添加物が使われていることはほとんどありませんが、念のために原材料の確認はお忘れなく。
近所のスーパーなどで手に入りにくい、選ぶのが正直めんどうだな…と感じるなら、安全性にこだわっている「食材宅配」を利用するのもおすすめです。
「大地を守る会」や「生活クラブ」「らでぃっしゅぼーや」では、国よりも厳しい独自基準をクリアした信頼できるメーカーの塩など、こだわりの商品だけを取り扱っています。
取り扱い商品の中から選べば、ある程度の安全性が確保されていますので、買い物がグンと楽になりますよ!
他の調味料もこだわってみたい!とお考えならぜひ以下の記事も参考にしてみて下さいね!