フッ素加工のフライパンが有害!みたいな話を聞いたことがあるんだけど、それって本当?家にあるフライパン使っちゃだめ?
こびりつかないフライパンって便利だよねぇ。でも危険!って言われると怖くなる。どういった意味でそう言われているのか調べてみたよ!
あとね…PFASって何?調べてもよく分からないんだけど。
PFASについても出来るだけわかりやすく解説しています!
フッ素加工が危険と言われるようになった背景①
「フッ素加工のフライパンが危険らしい」「有害物質がある」「人間の身体に悪影響を及ぼす」など、ここ数年「フッ素加工のフライパン=悪」のような情報が飛び交っています。実際にSNSなどでも目にしたことがある方も多いのでは?
ちょっと意地悪な、不安を煽るような内容のものもたくさんあったので、自分で色々と調べてみました。そしてこの記事を書いてます。
まず、フッ素加工とテフロン加工はどう違う?
「フライパンを焦げ付きにくくする表面のコーティング」としてよく聞くのは「フッ素加工」と「テフロン加工」ですが…どう違うの?何が違うの?という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
正解は「同じもの」です。
「テフロン加工」はデュポン社(現在はケマーズ社)の登録商標で、フッ素加工の1つ。
絆創膏のうちのバンドエイド(ジョンソン&ジョンソンの登録商標)だね!
フライパンのコーティングは「フッ素樹脂」
フライパンを焦げ付きにくくするため、コーティングとして使用されるのは「PTFE」というフッ素樹脂。
これはプラスチック原料です。(私達の知ってる熱ですぐに溶けちゃうプラスチックとは違って、熱に強く、水や油をはじく性質のものです。)
この「PTFE」をアルミなどのフライパンにコーティングしたのが、フッ素加工のフライパンというわけです。
高温になると有害物質が発生する
PTFEを加熱し過ぎた際に生じる熱分解生成物を吸引すると高い毒性が示されることが報告されています。315~ 375°Cで加熱した時の生成物を吸引した場合 、インフルエンザに似た症状を示すとされています。
ファクトシート フッ素樹脂|内閣府 食品安全委員会
小鳥がそのガスを吸引してお亡くなりになった、というのはこれね!
フッ素樹脂加工のフライパンは260℃まで長時間使用することが可能です。一般的な調理は160〜180℃、肉などを焼いても230℃までいかないくらい。そう、通常に使用する際には「危険!」と言われるようなことはありません。
ですが、余熱のために火にかけて「空焚き」をすると煙が出てくることありませんか?あれは加熱しすぎのサインです。(そしてせっかくのフッ素加工を傷める原因にもなります。)
空焚きは5分程で350℃に達することがあります。「PTFE」の融点は327℃なので、くれぐれも「フライパンを空焚きのまま、3分以上放置するのはやめましょう!」洗ったフライパンを乾かすために空焚きして放置してませんか〜?
けっこうやりがち!今までに何回かガス吸ってたかも!
ちなみにこんな状態での使用は、食材が乗っかっていない部分は空焚きの状態と言えます…。適切な大きさ、量、火加減で調理いたしましょう。
コーティングが傷つきやすい
これも良く聞く話。金属のヘラとか使っちゃダメだよって。傷がつくとコーティングが剥がれる原因に。
はがれ落ちたコーティングの薄片を飲み込んだとしても、体に吸収されず体内をそのまま通過し、ヒトの体にいかなる毒性反応も引き起こさないとされており、動物実験でも、PTFE を 25%含む飼料を90日間与えたラットでは有害な影響は見られなかったと報告されています。
ファクトシート フッ素樹脂|内閣府 食品安全委員会
コーティングが剥がれて、食べちゃっても大丈夫なのね!でもPTFE以外の物質のサビとか剥がれてる可能性もあるよね?
剥がれが進み始めたフライパンは使わないほうが良いってことか…
一般的にフッ素加工のフライパンの寿命は「1〜3年」と言われています。
みじかっ!
フッ素加工が危険と言われるようになった背景②
では、「通常の使用方法では安全性に問題はない」のに、なんで危険と言われているの?(小鳥さんがお亡くなりになったのは一大事ですが)
PFOAって?
最近、ちょっと耳にすること多くないですか?PFOA?え?PFOS? 良くわからないですよね〜、私も調べるまで???でした。では、順を追って説明しますね。
まず、「フッ素樹脂加工のフライパン」を作る際、PTFEを表面にコーティング(接着)する時に乳化剤としてPFOA(ピーフォア)が使われていました。
このPHOAって何?という方に。こちらの図をご覧ください。
「PFOA(ピーフォア)」は、有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」のうちの1つ。「PFOS(ピーフォス)」と共にPFASの代表的な物質と言われています。
この「PFAS」とは、水や油をはじき、耐熱性があります。科学的安定性が高いことから、世界中で様々な製品に使用され生活の中で役に立ってきました。
- ファーストフード食品の包み紙
- 撥水加工の服
- 防汚加工のカーペット
- 泡の消火剤
- 半導体
- 自動車部品 などなど
身近なものにいっぱい使われてきたんだね。恩恵にあずかったもの、山ほどあります!
ところが、産業的にはめちゃくちゃ重宝されてきたPFASですが、科学的に安定性が高い=自然界ではほとんど分解されないまま残ってしまうということが、どんどん明らかになってきたのです。
PFAS?フォーエバーケミカルって?
分解されないまま残ってしまうということで「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」と呼ばれている「PFAS」、なんと4700種類以上もあると言われています。
そんな物質が廃棄されると環境中に長期間残留してしまう、生物の中に入るとなかなか排出されず蓄積してしまう。
それは、非常によろしくない!どうにかしないと!ということで…国際条約「ストックホルム条約(POPs条約)」が採択され(日本ではPFOSは2010年、PFOAは2021年、PFHxSも2022年)製造・輸入が原則禁止されました。
なので、最初に書いたように「今現在、製造されて販売されているものは安全」と言えます。ですが…メーカーに長くあった在庫とかは…
規制の対象じゃないから、ありえるねぇ。笑
心配ならPHOAフリーとか書かれているものを選ぶといいと思うよ!
こういった経緯があり、フライパンのフッ素加工には有害物質が…危険だ!となったのですね。
他に安全なフライパンはある?
今から新しい物を買うのに問題はなさそうだけど…ちょっと抵抗あるなぁ。
その気持ち、非常に良くわかります!知っちゃった以上、気になるよね!
そんな方のために安心できる素材のフライパン、おすすめは…
- セラミックコート
- ステンレス
- 鉄
では、順に見ていきましょう!
セラミックコート
まずセラミックの特徴を。
やはり歯の詰め物にも使われるセラミックは、サビにくいし、すり減らないし、フライパンのコーティングに適した性質ですね。
高温になっても有害物質は一切出てこない安全なセラミックですが、急激な温度変化や空焚きはコーティングが痛む原因になるのでNGです。
セラミックコーティングの寿命は2〜3年といわれています。気をつけてお手入れをして「スルン」を長持ちさせましょう。
セラミックコートのおすすめ【グリーンパン】
「セラミックコート」という名前よりも「グリーンパン」のほうがもはや有名では?グリーンパンは世界で初めてフッ素樹脂を使わないノンスティック(こびりつきにくい)フライパンを開発したブランド。
有害物質を使用していないことでその名が挙がることの多い「グリーンパン」の表面の加工はセラミックです。
フッ素樹脂(PTFE)を使用せず、PFOAはもとよりその他のPFAS、また鉛・カドミウムなど人体や環境に及ぼす化学物質は一切使用していません。
ABOUT US|greenpan.store
その性能と環境・安全への配慮はもちろん、デザイン、見た目の可愛さなどから注目を集め、今や大人気のブランドとなっています。
テレビドラマでも使用されるの、わかる!めっちゃ可愛いもん!こりゃモチベアップするわ♪
では、グリーンパンの人気シリーズをちょこっとご紹介!
ウッドビー
真っ白なフライパンがなんとも可愛いウッドビーシリーズですが、廃盤となり在庫限りで販売終了です。
メイフラワー
少し深さがあり、煮物などの汁気がある料理に対応できるシリーズです。取っ手の天然木とグリーンのボディがナチュラルなキッチンにぴったり。
パドヴァ
見よ!この可愛いに全振りしたフライパンのデザイン!なのに安全でこびりつかない加工だとぉ〜、見た目も機能も両方素晴らしいなんて、まさに才色兼備!このまま食卓に出しても映えること間違いなし。
クリックシェフ
実は種類が多すぎてどれを購入したらいいのか分からない…と、グリーンパンの購入を決めたものの、アイテム選びで迷子になる人多数 涙
そんな方にうってつけのシリーズが登場!取っ手が取れる(どっかで聞いたことあるぞ笑)そして便利で使いやすいサイズのフライパンと鍋がセットになってます。
結婚祝いなどにしても大喜びされそうですね〜。
グリーンパンは毎月16日にエコの日として、クーポンコード入力で20%オフになるお得なキャンペーンを実施中!買い物カゴに入れておいて、スタンバイしておきましょう!
※クリックシェフコレクション、トライアルシリーズやスターターシリーズ、セール品などは一部対象外です。
ステンレス
ステンレスの特徴はこちら。
保温性に優れているので、魔法瓶の内側によく用いられています。サビにくく丈夫で傷つきにくいので、お手入れもしやすいのがメリット。もちろん加熱しても有害物質は出ませんし、リサイクル可能な環境にも優しい素材です。
しっかりと予熱をして油をしいてから調理をすれば問題ありませんが、慣れるまでは「でんぷん・タンパク質」の焼きそばやチャーハンなどは難易度が高いです。
焼く・炒めるが得意なステンレス、保温性が高いので「炒めてからじっくり煮る」といった調理に向いています。
フライパンとしても優秀だけど、ステンレスの特徴を最大限に活かすなら「鍋」も捨てがたい。深さのあるフライパンがいいかも!
ステンレスフライパンのおすすめ【ジオプロダクト】
ジオプロダクトはステンレスの「熱の伝わりが悪い」「重い」といったデメリットをカバーするため、熱伝導性に優れ、軽い素材のアルミニウムをステンレスで挟み込んだ全面7層構造のフライパンです。
コーティングされたフライパンに慣れている方にとっては、最初は苦労するかもしれませんが、予熱をしっかりマスターすれば、長く使える相棒となります。
実際にジオプロダクトでは、製品に絶対の自信があるからこその「15年保証」を行なっています。
蓋つきで、無水調理もできちゃう!
愛用中のジオプロダクトの鍋について解説した記事はこちら!
鉄
鉄の特徴はこちら。
「一生モノ」と言われるほどに耐久性に優れている鉄。金属のヘラでも安心して使うことができます。
また昔から「鉄分が摂れる」と言われていますが、科学的にも証明されており、「鉄分を含む食材」ってそんなにたくさんないし調理が難しい…と嘆いていたママにはおすすめです!
重い…使う度に油ならしをしないといけない…というのも良く聞きますよね。でも最近はそんな鉄のデメリットを補うべくいろんな商品がたくさん出ていますよ。
「洗う」という意味でのお手入れはカンタンですが、洗ったあとはできるだけ早く水気を拭き取り、サビないように保ちましょう。
鉄フライパンのおすすめ【ビタクラフト スーパー鉄】
ビタクラフトのスーパー鉄は、サビが大敵の船や飛行機に使われる技術を応用し、鉄の内部に窒素を浸透させて表面の強度を高めたフライパンです。
鉄フライパン初心者にも安心して使ってもらえるよう、窒化加工を施しているため「焼き入れ」や「油ひき」など、鉄のフライパン特有の面倒なお手入れが必要ありません。
「鉄ってお手入れが大変…育てるって子どもだけで十分だわ…」と敬遠していた方にも使いやすさの点で納得していただけるシリーズです。
私が実際に使用している「ビタクラフトのスーパー鉄」フライパンについて詳しく書いた記事はこちら↓
まとめ:家族のためにも安心できるフライパンを選ぼう!
いかがでしたでしょうか?
現在、販売されている「フッ素加工」フライパンは通常の使用法では「安全に使えるフライパン」です。今も数多く販売されています。
それでもやっぱり「フッ素加工はちょっと不安…」という方には
■「こびりつきにくいコーティングはあった方がいい!」
☞セラミックコーティングがおすすめ
■「コーティングの寿命が1〜3年って短くない?」
「フライパンって消耗品?あんな大きなゴミなのに…」
☞ステンレス・鉄がおすすめ
どの素材も得意・不得意があります。説明書をしっかり読んで、少しでも長く使いたいですね!
フライパン選びの参考にして頂けたら幸いです!
参考:ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及び ペルフルオロオクタン酸(PFOA)について|環境省
フッ素樹脂、パーフルオロ化合物のファクトシートご紹介|内閣府 食品安全委員会
有機フッ素化合物に関するQ&A|神奈川県ホームページ